第25章 切迫と報復と、開戦と危機と
「まったくもって…その、通りだな」けほ
「…」
『サスケ君!』
「「…」」
サスケはゆっくりとこちらへ再び歩いてくる。
口元から滴下する血を、親指の腹で拭いながら。
そして…大きく見開かれた両の瞳。
それは血のように赤く、赤く。
目の前の二人の血を求めているみたいに光っていた。
「あれが、写輪眼…」
「戦うのは初めてだが。対策は飽きるほどしてきた」
二人はサスケに向き直り、再び臨戦態勢に入る。
「その対策が、全部無駄な努力だったって。今から俺が教えてやるよ」
ギラリと瞳の色が、より一層赤く濃く光る。
サキとコウは、先程よりも少し視線を落として戦っていた。
おそらくこれが彼らが言っていた対策。なのだろう。写輪眼を直視しない。
言葉で表すのは簡単だが、そう上手く行くものなのだろうか。
いや…
「…甘い」
「っぐ、!」
上手くいっていないから、サスケの攻撃が当たるようになったのだろう。
そしてサスケの方はより攻撃が鋭くなっている。
写輪眼で見た世界がどのような物なのか私には知る由も無いが。
少し先の未来が見えている。そんな事を私に思わせる戦いぶりだった。
「は…はっ」
二人とも、もう肩で息をしている。サキは脇腹を抑えて苦しそうだし。コウも何度も片膝を地についていた。
「…下がれ」
そんな様子を見かねたように、シュンが二人に命令した。
「し、しかし」
「下がれって、 言ってんだろうが」
コウの言葉に一切耳を貸すことなく、シュンは再度 彼等に後退を命じた。
そして、一歩前へと歩みを進めた。
「…来いよ」
獣のように低い声でサスケが敵を挑発する。
彼も私も。次はシュン本人が敵として立ちはだかるのだと。疑わなかった。
しかし、それはどうやら違ったようだった。