第25章 切迫と報復と、開戦と危機と
「あの二人相手にどこまでやれるか見ものだな」
『!!』
いつの間にか、すぐ隣に立っていたシュンの存在に驚いて。
彼等がぶつかる瞬間を見逃してしまった。
しかし耳に届いてきた激しい金属音に、すぐさま視線をサスケの方へ向ける。
『…貴方の、目的はなに』
私では、目で追う事すら叶わない戦いを見守りつつ。隣の男に問う。
「今話す事はなにもない。でもな、お前には絶対俺達に付いてきてもらう」
ただの脅しではない事は、もう分かっている。
「チっ」
サスケは、二人の手練れを相手にしていて。
ギリギリの戦いを強いられている事は、火を見るより明らかだ。
なのに…
「…俺達を相手にしながら、余所見か」
「ナメられたものね!」
私の方を何度も確認するサスケ。
誰がどう見たって分かる。私が彼の邪魔になっている事など。
『っ、』
サキとコウは、コンビネーションを活かした戦いでどんどんサスケを追い詰めていく。
なんとか彼らの攻撃を躱していたサスケだったがついに大きな一撃を受けてしまう。
二人から同時に繰り出された蹴りが、彼の体を吹き飛ばす。
「カ、はっ///」
『サスケ君!///』
彼の体は、遠くにあった大木まで吹き飛ばされ。さらに木の幹にめり込むほどの衝撃を受ける。
「…思ったより粘ったな。さすがうちは一族ってとこか」
『…お願い。もうやめて、シュン』
こんな事を言ったら、懸命に戦ってくれたサスケに失礼かもしれない。
カカシにだってまた怒られてしまうかも。
しかし、この言葉以外に口にする事など今は考えられなかった。
『私なら、…どうなったっていい。どこへだってついて行くから。お願い。もう…彼を傷つけないで』
「お得意の…自己犠牲。か。
俺はな、そんなお前の優しさに。
心底吐き気がする」