第24章 エメラルドと瞬と、酒乱と酒乱と
また明日も来ます。
と言って、昨晩イルカは帰って行った。
どうして私は昨日あんなふうに彼の前で醜態を晒してしまったのか…
あんなふうに泣きながら弱音を断片的に打ち明けられては。イルカも さぞ困っただろう。
呆れられただろうか。
まさか…私が情緒不安定過ぎてほっておけないと判断したから、今夜も来ると言ったのか!
『…うぅ、恥ずかしい…』
私は静かに独り言ちる。
そして、もはや日課となった空き家通い。
いつもの通り、食事を持って彼の元へ向かう。
「おい、何してんだ?」
『っったぁ!?』
空き家の玄関に手をかけようとした瞬間、背後から声を掛けられ変な声が出てしまった。
「どんなリアクションだよ」こっちがビビる
『し、シカマル、君』
「…何焦ってんだ?この中に何かあるのか?」
シカマルは私を差し置いて、空き家の中に入ろうとする。
『待って待って!こんな空き家に何かあるわけないでしょ!?ほら早く行こう!』
「……アンタ、ほんと嘘つくの下手だよな」
そう言うのと同時に、シカマルは勢いよく扉を開け放った。
これはまずい。非常事態だ。私のせいで、シュンが最も恐れていた事態に陥ってしまった。
彼は不安に駆られている私を置いて、ずんずんと空き家の中に入って行く。
「うわ…っ」
『シカマル君、これにはわけが…』
「やっぱボロボロだな」中は
『え?』
予想外のシカマルの反応に、私も彼の後を追って ずいっと中に立ち入った。
すると、中には…。
文字通り、何にもなかった。
「埃っぽいな、早く出ようぜ」けほ
昨日、私が持って来た弁当も水筒も。シュンの姿も。
形跡すら、何にも残っていないのだ。
『…相変わらず、お礼の一言もなしか…
またね。って言ったのに…
うそつき』