第24章 エメラルドと瞬と、酒乱と酒乱と
すんなりと名前を教えてくれた事に、私は少なからず驚いた。
少しは私の事を信用してくれたのだろうか。
そう考えると、もっと色々と質問したくなってしまう。
どうして人を呼んで欲しくなかったのか。
何故怪我をして、ここに隠れていたのか。
木ノ葉の忍なのか、他里の忍なのか。
でも、そのどれを質問したとしても。彼は答えてくれないと思ったし。また距離が出来てしまうような気がしたので。
全く違う質問をする事にした。
『お弁当、美味しい?』
「不味い」
『……』
この人は、人の作った物を完食しておいて不味いとか言うし。以前ブスと罵られた事もあった。
『あのねぇ、命の恩人に対してちょっと口のきき方考えた方がいいよっ』
「お前が勝手にやった事だろが」
『た、確かにねぇ!確かにねぇ!
うー もういいや、ほら包帯変えるから腕出して』
「……」
これまた意外な事に、シュンは大人しく腕をゆっくりと差し出すのであった。
『良かった。もう血も完全に止まってるし、化膿とかもしてない』と、思う
こんな不衛生極まり無いところで、ずっと寝ていたというのに。物凄い回復力だ。
『痛む?やっぱりまだ痛いよね…』
「やっぱり理解出来ない。お前、どうして俺を助けた?…普通、逃げるだろ」
宝石のような瞳が、じっとこちらを見ている。
まるで私を捉えて離さない。
『……そ、れは。
と、時任さんがカッコよかったからかな…!』
「………」
私がもし、人生に一度だけ 時間を十秒巻き戻せるなら、間違いなく今その力を行使している事だろう。