第24章 エメラルドと瞬と、酒乱と酒乱と
昨晩は、ミナトとナルトのおかげで寂しい夜にならずに済んだ。
カカシとサスケも、今頃懸命に仕事に励んでいるのだろう。私も、彼等には及ばないまでも自分に出来る事をしようと思う。
『おはよう。お加減いかがかな』
「……」
『あ、今日は随分と調子良さそうだね。熱は引い』
「触るな」
私が熱の具合を確かめようと、彼に手を伸ばす。
しかしその手はいとも簡単に払われてしまった。
『…はい。これ今日のご飯』
彼は私から弁当箱を受け取ると、早速中身を食し始める。
『…ご飯は食べるくせに』
「何か言ったか」
『べつに』ぶす
当然電気も通っていない空き家。しかし今日は晴れ晴れとした良い天気で。外の光が眩しいくらいこの部屋にも差し込んでくる。
今更だが、彼の容姿を観察してみる。
炎のように真っ赤な赤髪は、短髪に切り揃えられており。普段の髪型はオールバックなのかもしれない。今は少し乱れており、額に髪がハラリと落ちている部分がある。
切れ長の狐目は三白眼で、その色はまるでエメラルドのような美しさを持つグリーン。
そしておそらくだが。身長はかなり高いと予想される。きっとカカシよりも大きい。
彼の立ち姿を見た事がないので、断言は出来ないが百九十センチくらいあるのではないだろうか。
「……なんだよ、人の事ジロジロ見んな」
『え、っと…』
確かに、改めて容姿を観察していた。とは言いにくい。私は咄嗟に思いついた事を口にする。
『…名前。名前、まだ聞いていなかったなと』
彼は、ガツガツと食べていた弁当から箸を離し。間を空けてポツリと呟いた。
「……時任…シュン」
エメラルド色の瞳が、悲しそうな色を孕んでいた。