第24章 エメラルドと瞬と、酒乱と酒乱と
行き勇んで山に出向いたは良いものの…
『…しくじった』もはやお約束
草が鬱蒼と生い茂る山の中を、歩き続けてずいぶんと時間が経過した。
はやる気持ちと、目的の草が見つからない焦りから。
私は足元への注意が散漫になっていた。
そして案の定…
落ちた。
泣きたい気持ちを堪えて、私は怪我の有無を確認する。どうやら骨は折れていないようだし、足を挫いたりもしていないようだ。
しかし、擦り傷はあちこちに出来ていたし、服も所々破れてしまっていた。
『あーもう!!全然見つからないし!!』
私は半ばヤケクソになって天を仰ぐように、誰に向けた訳でもなく叫んでみた。
『…あ』
私が転げ落ちて来た崖の中腹に生えている物。
あれはもしや…
私は見間違いではないか確かめるように、それを注視する。
どうやら間違いない。あれは、私が探し求めていたものに違いなかった。
『あったよ!!』
「……」
彼は、ボロボロになった私をただただ凝視していたが。やがて目的の薬草をじっくりと観察し始めた。
薬草の確認を終えると、ムシャムシャと豪快にその草を咀嚼し始めたのだった。
『……普通こういうのって、煎じて飲んだりとかするもんだと思ってたよ』こう、ゴーリゴーリって磨り潰して
「……、お前が、生のまま持ってきたん だろが」
『あ、』
そうか。私が煎じてから渡さなくてはいけなかったのか。薬草が見つかった嬉しさで、そこまで頭が回らなかった。
最後の葉を、ごくんと飲み込むと。彼は静かに眠りについた。
これで、どこまで回復してくれるか。あとは祈るのみである。