第24章 エメラルドと瞬と、酒乱と酒乱と
今朝のあれだけバタバタした状況下で。ミナトは私にしっかりと告げた。
“ 何か問題が起きたり、困った事があったら
絶対に俺に報告するように ”
相談。ではなく、報告。彼は確かにそう言った。
彼は…何をどこまで分かっているのだろうか。
私は当たり前のように、今日も例の空き家まで来ていた。
どうか、彼の容態が昨日よりも落ち着いていますようにと。祈りを込めて玄関を開ける。
「……また、お前か…」
見る限り、昨日と状態は変わっていないようだ。
『取り敢えず、包帯変える』
相変わらず悪態は付くものの、手当てする私の手を振り払う事はしない。
昨日持って来た食事も、綺麗にたいらげている。
包帯を変える際に、彼の体に手が触れる。
それだけで彼の体が高熱を持っている事が伝わってくる。
『…これ、もしかして…毒?』
「……」
私はその沈黙を肯定と受け取る。
毒が原因で苦しんでいるとなると、私がいくら包帯をせっせと巻いた所で意味がないはずだ。
どうする…。
病院に見せるわけにも行かない。誰か助けを呼ぶ訳にも
「…サンキライ」
『え?』
「解毒草、の名だ。サンキライ、っ…野山に、自生してる…」は、
『サンキライだね。…分かった。待ってて』
私は今一度その薬草の名前を確認すると、家を飛び出した。
「……馬鹿みたいに、お人よしな奴、だな。
変な、女」
私は男の呟きを最後まで聞く事なく、取り敢えず一旦は家に帰る。そして、カカシの書棚から植物図鑑の巻物を見つけ、一気に開いた。
『!!あった!』
サンキライ(山帰来)
そこには確かに、野山に自生しており解毒作用があると書かれている。
私にも出来る事がある。