第23章 破術と秘密と、風邪と言の葉と
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インターホンを一回、少し長めに押す。
そしてしばらく玄関で待った。
が、人が出てくる気配は一向にない。
「…まさか。倒れたりは、してねーよな」
しかし一度頭に浮かんだ良くない想像は、どんどん大きく膨らんでいった。
サスケもカカシも仕事で不在。家の中にはエリが一人。食べ物も水分もろくに取れないでいて。もし…
もし倒れ込んで動けなくなっていたりしたら…。
「…っチ。めんどくせー!」
俺は鍵のかかった玄関から入ることを諦め、窓枠に足をかけるのだった。
『……』すや
「…まぁ、そうだよな」
俺の妄想は、とてつもなく杞憂で終わった。
いや彼女が無事にこしたことはないのだが。
とりあえず俺は、ベッド脇にある椅子に腰を降ろした。
彼女の顔色を見る限り、高熱が出てうなされている。というわけでもなさそうだ。
しかし、今エリが熱を出している原因は間違いなく昨日の事が起因しているのだろう。
俺が助けきれず、水に濡れたせいか…
はたまた、突然突き付けられた衝撃の事実を受け止めきれなかったのか…。
俺がもっと冷静になって、オブラートに包んで伝えてやればよかったのかもしれない。
どちらが原因にせよ、俺にも責任がある。
椅子から立ち上がり、彼女の寝顔を覗き込むように 近くで確認する。
「……わりー、な」
「何が悪いの?」
「っっ!!びっ…くりしたっ。カカシ先生、気配消して背後に立つのやめてもらっていっすか」
「俺の家だからね。俺の自由でしょ。っていうかシカマルこそ、不法侵入だよ」窓から入ったね
「……すんません」