第23章 破術と秘密と、風邪と言の葉と
熱のせいか、嫌な夢を見た。
会社の同僚から
” 体調管理も出来ないのか。なんて役立たず ”
と罵られる。
『……っ、ぅ』
両親から
“ そんな風にヤワに育てたつもりはない。
早く風邪なんて治してしまいなさい ”
とプレッシャーをかけられる。
「ただいま…。まぁ寝てるよね…。ん?」
『……っ、ごめん、なさ…』
「うなされているのか…あれ。…熱?」
『…、嫌いに、ならない、で』
「……」
目頭から、熱いものが流れる感覚があった。
しかし、それが枕を濡らす事はなかった。
夢の中にいる私はそれに気付けなかったが、誰かが、涙を途中で受け止めてくれたから。
それはとても、優しい手だった。
「!!カカシ…帰って来たのか」
「あぁ…さっきね。
そのタオル、エリの為に?」
「熱、上がってるからな」
額に、冷んやりと心地の良い感覚。
もちろん二人がすぐ側に居て、看病をしてくれたり。話をしていたりする事は。眠っている私には知る由もない。
「…可哀想にね。うなされてた」
「俺は…腹が立つ。風邪の時ぐらい大人しく休めばいいのに。いつもいっつも…誰かの為だの役に立ちたいだの。
何考えてるんだコイツは…っ」
「誰かに必要とされない自分には、価値がないと思っているのかもな。
ほんと…馬鹿な子だよ。この子は」