第3章 猫と秋刀魚と、涙と笑顔と
『大根が無い』
「大根?別になくてもいいだろ」
『ええ?ど、どういう事?まさか、大根おろしの お供も無しに秋刀魚を食べるつもりなの?』
「そうだが、なにか問題あるか?」
『サスケ君は、一度秋刀魚の神様に土下座した方が良いよ』
「そんな神がいてたまるか!」
「おーい七輪あったよ。
ん?どしたの?」
七輪を運んできてくれたカカシに、今の流れを一通り説明する。
「大根おろしがない秋刀魚。か…」
『甲羅のない亀です』
「耳のないうさぎだね」
「アンタら仲良いな」
謎の例え合戦は、サスケの心には全く響かなかったようだ。
『じゃぁこれ、買い物リストです』
味噌や醤油、他の野菜等も切らしていた事に気付いた。私がすぐに買ってくると申し出たのだが。
買い出しはカカシとサスケが行く事になった。
腹ペコ二人組は、自分達が買い物をしている間に、私には料理を進めておいて欲しい。との事。
「じゃあ、ま!行ってくるよ。火の扱いには気を付けてね」
『大丈夫です。火を起こした事あるので』
私は手を振って二人を見送る。そして早速火起こしに取り掛かる。
塩を振った秋刀魚を片手に、炭がセットされた七輪へと向かう。玄関を出てすぐに、それは置かれていた。
『秋刀魚よし。うちわよし。
さ、美味しく焼くぞ』
私は一人で気合いを入れて、火起こしを開始した。