第23章 破術と秘密と、風邪と言の葉と
「大丈夫だ。そうならないように、俺が、
エリを守ってやる」
ぎゅっと、逞しい腕で私を抱きしめる彼が。
あまりにも力強くて心強くて。
彼の背中に腕を回して、必死にしがみついた。
「…今日の事は、絶対に誰にも言うな。これは絶対だ。
俺達だけの秘密にしろ。
この事実を、誰にも知られねー事こそが
エリを危険に晒さない事に繋がる」
この世界に来て、初めて二人に秘密が出来た。
私はカカシとサスケを心の中に思い描く。
もし、私のせいで本当に戦争なんて事になってしまったら…。
二人にも、とんでもない迷惑をかけてしまう。
それこそ、私の命を持ってしても償えるものではない。
「…こんな事、してる暇あったら…調べないとな」
彼は簡単に、私を抱き締める腕を解いた。
『…調べる?』
「勿論、アンタの能力についてだよ」
シカマルの言葉通り、私は彼の力を借りて様々なパターンを試した。
片目ではどうか。効果を発動出来る距離は?幻術に対して、忍術に対して有効なのか。
など。彼と一緒に、情報を出来るだけ固めていくのだった。
「疲れた…」はぁ
『だいぶ付き合ってくれたもんね!ごめんね、大丈夫??』
「…アンタは全く疲れてないのな」
『ん?だって私のは忍術とかじゃないもん。
ただシカマル君の目を見てるだけだし』
「……」
不公平だ。
そう呟いた彼の声が、暗くなりつつある空に吸い込まれていった。