第23章 破術と秘密と、風邪と言の葉と
「とりあえず、俺が今分かった事を伝える。
まず、アンタに術をかける事は可能だ。
さっき身をもって体感したと思うが、俺の影真似は普通に成功した。
ただ…俺とエリと目があって四秒後だ。
俺の体の中のチャクラの流れが乱されて、完全に術が無効化された」
まったく暑くないというのに、シカマルの額から一筋の汗が流れ落ちた。
『で、でも私、瞳術にかけたられた事あるよ!』
「瞳術?」
一縷の望みを掴むように、私は数ヶ月前の出来事を思い出して彼に説明する。
『はたけさんの、写輪眼。あの時は、術にかかった。普通に』
「カカシ先生が…アンタに写輪眼?」
シカマルは、まるっきり信じていない様子。
「あの人がエリに危害をねえ」へー
『い、いや。危害ではなくて、あの時は…
良い夢を見れますように。って言ってくれて…おまじないみたいに』
「そりゃーまじないだ馬鹿」
『う…で、でも本当に眠くなって、良い夢も見れたんだもん…』
「たまたまだ!どうせ疲れてたからとか、そんな理由が偶然重なっただけだろ」
たしかにシカマルの言う通り、あの時私はお酒が入っていたわけだが…。
「あー、なんかアンタと話してたら気が抜ける」
久しぶりに、シカマルがへらっと笑った。
『そ、それは、どうも…』
「褒めてねー。
いや、でもなんか悪かった、な。色々といっぺんに話してよ。一番戸惑って、怖いのは…アンタだよな」
彼は…聡い上に、こんなにも優しい。なんて素敵な男性なのだろうか。
どうしてこの里の若い女の子達は、このような優良物件を放置しているのだろう。
なんて、今はどうでも良い事を考えてしまった。