第22章 ※蝶と房事と、誘惑と忘却と
俺はエリのブラウスに手を掛ける。
下の方から、ひとつ、ふたつとボタンを外して。
とてもじゃないけれど、全部のボタンを外すまで我慢なんて出来なかった。
エリの露わになったヘソの隣に、手を這わせる。なんて滑らかで、柔らかい肌。
まるで俺の手に吸い付いてくるようだった。
「っ、///」
俺が指を少し動かすだけで、彼女の腰が揺れる。
熱い声が、俺の耳に張り付いた。
『はたけさ…、きもちぃ///』
止まれるはずなんてない。
止められるはずなんて…ないと、思った。
けれど。
“ 明日になれば…全部綺麗に忘れているんです。
はたけさんも…忘れてくれますか? ”
彼女の言葉が、頭の中でリピートしていた。
「……」
『ん…、はたけ、さん?///』
クソ。
何も考えず、欲望のまま抱いてしまえれば どれだけ楽だったことか。
「……」ふぅ
一度大きく息を吐いて気持ちを落ち着ける。
そして、外してしまった彼女の服のボタンを自ら留め直していく。
『はたけさ』
「エリ、やっぱり…駄目だ。
今のまま君を抱いても、エリは今夜の事を忘れてしまうんでしょ?そんなの…
俺の気が狂っちゃう。だから、もしまた次の機会があって。
お互いが、絶対に忘れられない夜に出来るなら。
その時は、間違いなく俺は君を抱くよ」
『……はい』
「ん、良い子」
つらつらと長ったらしい台詞を垂れ流しながらも
本当にこれで俺は後悔しないのか?と自問自答を繰り返していた。
「エリ、俺の目を見て」
俺は写輪眼を彼女の瞳の中に写し込む。
「じっと見て。見ていたら…すぐに眠くなるよ」
彼女は、俺の左目をじっと見つめた。
瞳力を、こんな風に使った事はないが。
ただただ。愛しい人の心が、休まりますよう…
「……おやすみ。どうか、良い夢を」