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モノクローム【NARUTO】

第22章 ※蝶と房事と、誘惑と忘却と




『はたけさん、キスしても…いいですか』

「うん」

俺の三度目の、うん。という返事だった。

エリは俺の口布を下げた。そしてゆっくり彼女の唇が俺の唇に近づいてくる。

あとコンマ一秒もすれば、互いの唇が触れ合う。
その刹那、俺は薄く唇を開く。
彼女を迎える為に。

『アゲハさんとも、キスしたんですか』

キスをギリギリ寸止めにして。
彼女の口から、切なそうに声が漏れた。

「…いや。していないよ」

俺がそう答えると、エリが安心したような嬉しそうな、そんな表情で笑う気配がした。

その瞬刻、唇が重ねられた。

「!」

手を握ったまま。熱い感触が俺を支配する。

布越しではない、彼女からの初めてのキス。

彼女の舌の動きに応えながらも、俺の胸中は感動に打ち震えていた。

切望する人から与えられる口付けが、こんなにも自分を昂奮させるものだったとは。

大袈裟でもなんでもなく、腰が抜けてしまいそうな程 強い快感だった。

『…は、』

彼女が吐く熱い息が、俺の唇にかかる。
それだけで、意識が飛んでしまいそう。

『はたけさん、』

握った手を引かれる。後ろに倒れるエリに引っ張られ、俺も倒れ込んでしまう。
彼女の上に。

『はたけ…さん』

「…っ、」

そんな目で、そんな声でそんな表情で!
今俺の名を呼ばないでくれ。そんなふうに求められたら…

「…エリ…っ」

俺の安い理性なんて、いとも容易く吹き飛んでしまうから。


ゆらゆらと、妖艶に彼女の瞳が揺れる。
その瞳を見ていると、夢の世界に吸い込まれてしまう感覚に陥るよう。

今度はこちらから、彼女の唇を吸う。

相変わらず、柔らかくて甘い唇。
まるで悪魔が好む菓子のよう。

『ん、、…』

唇を啄む度、濡れた息が漏れる。

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