第22章 ※蝶と房事と、誘惑と忘却と
彼女の言う通りだった。
アゲハが俺の事を好きだとか、愛してるだとか言った瞬間に。俺は彼女から距離を取るつもりだった。
しかし、彼女はそれを察しているのだろう。
決してその言葉だけは言わなかったから。
「マスク、取っても良いですか?」
「いや、キスはしないって」だから
「分かりました」
一瞬悲しそうに瞳が揺れたが、彼女はすぐに切り替えて俺の服を脱がしにかかった。
まずベストを脱がせて、隣に置いて。次に上の服を脱がして肌着も取り去る。
上半身に纏う物が無くなって少し寒かった。
俺は冷えた目で彼女をただ見つめていた。
「…跡は付けないでよ」
「……」
彼女は返事をしないで俺の肌に、その綺麗な唇を滑らせた。
首筋から鎖骨、鎖骨から胸。徐々に下に、下に。
赤い小さな舌が、ヘソの辺りをチロチロと舐め上げるのと同時に、ズボンのジッパーが下げられる。
もう羞恥心とか、そういうものは全部とっくに無くなっていた。これは、単なる作業なのだ。少なくとも俺にとっては。
彼女は冷たい手で、まだ元気のない俺のイチモツを取り出して、ゆっくりとその口に含んだ。
突如与えられる熱に、反射的に体が震えた。
「……」は
「……ん、」ちゅ
口の中で、丁寧に愛撫される。ねっとりとした舌の動き。ゆっくりと割れ目に這わされる。
この動きを自分が教えたのだと思うと、少し身震いがした。