第22章 ※蝶と房事と、誘惑と忘却と
私は、這うようにしてサスケの側に駆け付けた。
何かの書物で読んだ。たしか、幻術を解くのに有効な手段は…
『っ、』ガリ
私は、サスケの指先に噛み付いた。
「!!」
確か、強い衝撃や痛みを与える事で。
幻術に囚われた仲間を助けられる場合もあると、書いてあったのだ。
「…エリ、助かった」
「……もう時間」
「『え?』」
そう呟くと、彼女は一目散に窓から飛び出して 私達の前から消え去ったのだった。
「…なんだったんだ。あいつは」
『…シーツ、持っていかれちゃった』
残された私とサスケは、必然のように彼女の話題で会話を始める。
『黒蝶さん、やっぱり有名?サスケ君も知ってるみたいだったし』
「あぁ。カカシのストーカーだ」ある意味で有名
『ス、ストーカー…』
聞けば、家バレは勿論の事。侵入も頻繁で、私物を持ち去る事も珍しくないらしい。
「それでも、今までは人に危害を加える事はなかったが」
『…よっぽど私の事が気に入らなかったんだね』
そもそも、私がこの世界に来てもう二ヶ月と少し。よく今まで襲われなかったものだ。
おそらく、彼女としても我慢に我慢を重ねての結果が、今日のあれだったのかも知れない。
だかといって、私がカカシの元で暮らしているというだけで殺されかけたのは納得いかない。
『……サスケ君!出掛けよう!』
「!」
『なんか、スッキリしない!こうなったら、美味しい物お腹いっぱい食べて 飲んで、ストレス解消しないと!』
「……確かにな。付き合う」俺もイラついた
私とサスケは、善は急げと家を飛び出した。
寝室の後片付けなど、そんなものは全部後回しだ。