第21章 イブとヤキモチと、報いと長期戦と
『クリスマスイブ…ご存じないですか』
「うん。今日がそうなの?」
ひょんな会話から、この世界にはクリスマスという概念が存在しない事が発覚した。
クリスマスを知らない人に、今日という日をどのように説明すれば上手く伝わるだろうか。
『クリスマスは…イエスキリストの降誕祭を祝うものです』
「イエス?知らない人だなぁ」
私も詳しくは知らない…。
「具体的に、何をして祝うの?」
意外と興味津々のカカシ。やはり自分の知らない世界の事は知りたいと思うのだろうか。
『えっと…サンタさんがプレゼントをくれたり、ケーキを食べてお祝いしたり…』
「サンタ?また知らない人が…。でもケーキは好きじゃないな。
他には?」
『えーと…まぁとりあえず、大切な人とデートしたり。家族と食事したりする日ですよ』
私は、カカシにクリスマスを正確に伝える事を半ば諦めて投げやりに言った。
するとカカシが。
「大切な人と…デート。なるほど…
じゃぁエリ。今日は俺にクリスマスを教えてくれる?」
そんな会話から、今に至る。
『…大人になってからは、クリスマスイブなんて平日と変わらないと思ってましたけど…。
やっぱりいいですね。こうして、いつもより少しだけお洒落して。誰かとお出かけするのは』
「…俺も今日が休みで良かったよ」
なんとなく、空を見上げると。白い物がちらちらと私の元に舞い降りていた。
『!!雪…』
「ほんとだ。寒いわけだね」