第21章 イブとヤキモチと、報いと長期戦と
『ホワイトクリスマスですね…』
気が付くと、吐く息も白く染まっていた。彼が言う通り、今日は一段と冷える。
手袋をしてくれば良かったと後悔した。指先がかじかむ。
自分の吐く息でかじかんだ指先を温める。
「…冷たい手。きっと、エリは心が温かいからだろうね」
カカシの手は、ごく自然に私の手を握る。そしてそのまま二人は手を繋いで歩く。
『…はたけさんの手は、温かいですよね』
「はは、俺の心は冷たいんだよ」
手の温度と、心の温度は反比例する。
そんななんの根拠もない説が横行しているのは、こちらの世界でも同じらしい。
『…そんな事は、ないです。はたけさんの心が温かい事は私が、よく知ってますから』
話しながら彼の手を握る手に、少し力を込めた。
「…ありがとう」キューン
「あら、カカシ…」
前から歩いてきた女性が、私たちの前で歩みを止めた。
「…紅」
互いの名を呼び、立ち止まる二人。どうやら知り合いのようだ。
「ふふ、いいわね。デート?」
柔らかく微笑む、カカシが紅と呼んだ女性は。私とカカシの繋がれた手を見て言った。
『あっ、こ、こんにちは!私は中崎エリ
と申します!』
私は咄嗟にカカシの手を離して、お辞儀をした。
「私は夕日紅。カカシとは同僚なの。よろしく」
「よろしくしなくていいよ。デート中だって分ったなら、空気読んでくれるー?」