第21章 イブとヤキモチと、報いと長期戦と
——point of view はたけカカシ
クリスマスイブとはどういった行事なのか、俺に教えてくれると言ったエリ。
二人で手を繋いで街を歩く。
こんな人通りの多い道を、女性と手を繋いで歩くなんて。以前の俺なら絶対にお断りだったよね…
でも、それがこんなにも幸せな事だったなんて。
君に会うまでは知らなかったよ。
隣を歩く、君の横顔を盗み見る。
心なしか、エリの顔もいつもより楽しそうに綻んでいるように見えるのは、俺の願望が そうさせているのだろうか。
「エリが好きだ」
そう言ったら、君はどんな反応を見せるだろう。
一度、勢いで告白してしまった事もあるけれど。彼女が眠ってしまい失敗に終わった。
しかし、その後チャンスは何度だってあった。
それでも…俺が再度告白しないのは…
拒否されるのが怖いから。
確実に受け入れてもらえる確証がないなら、この想いを伝えない。なんて…
俺はなんて情けない男なんでしょ。
ただ、いま想いを告げたって。
俺の想いが実る可能性は0%じゃないか。
だって…
君は優しすぎるから。
出会ってから、ずっとエリを見てきたから。君が今なにを考えているのかくらいは分かる。
どうか、考え直して。
君の今のその考えは、誰も幸せにしないって事に気付いて欲しい。