第20章 苛立ちと独占欲と、寂しさと呪縛と
『はたけさんから聞いたんだ。サスケ君、私を心配して近くにいててくれたんだね。
…ありがとう』
「…べつに。危なっかしくて、見ていられなかっただけだ」
『うーん、そうなんだよね…いくらなんでも あんなにお酒弱くなかったはずなんだけど。
どうして潰れちゃったかな…』
この様子を見ると、カカシは彼女に真実を話していないようだった。
まぁ。不必要にエリを傷付ける理由はないという点では、それが正解な気がする。
隣で考え込んでいるエリには聞こえないように、カカシに問い掛ける。
「アンタはどうして、あの場所に?」
「んー、イルカ先生から教えてもらってね。
大規模な忘年会に、エリが誘われたらしいけど。自分や周りの人間には、声がかかっていなくて、何かおかしいって」
そういう事か。カカシがあそこにいたのは、イルカの差し金。
「…帰るぞ」
『!』
俺は、エリに向かって手を差し出す。すると、彼女は全くのノータイムで俺の手を取った。
『うん!帰ろう』
俺はエリの手を引きながら歩き出す。
「置いていかないでよ。ね」
カカシも、エリに手を差し出した。また当然のように、エリはその手を握る。
『勿論です。はたけさんも、来てくれてありがとうございます。一緒に帰りましょう』
エリを真ん中にして、俺達三人は手を繋いで歩き出すのであった。