第20章 苛立ちと独占欲と、寂しさと呪縛と
“ 大丈夫… ”
目の前の彼女は、どういうつもりでそう言っているのだろうか。
まさか、俺の気持ちが分かるわけもない。
それとも…全て分かっていて言っているのだろうか。
俺の為に…、
自分は永遠に誰かの「特別」にはならない。
そう言っているのだろうか。
だとしたら、俺は言葉の呪縛でエリを縛ってしまったのではないか。
“ 俺から離れないでくれ ”
永遠に彼女が、俺以外の男の手を取る事の出来ない
最低で最悪の呪縛。
「……っ、ごめ、ん///」
懸命に声を絞り出す。それでも、ギリギリエリに届くかどうか分からない声。
でも、俺の頭を撫でる手がひどく優しくて。多分俺の声は届いているんだと思えた。
胸元に、頭を引き寄せられて。髪を優しく撫でられる。
それがあまりに心地良くて。夢心地だった。
そのおかげで、すぐ近くにカカシが立っている事も。
そのカカシに向かってエリが、しー。と指を口に当て、静かに。とジェスチャーしていた事も。
何も気付かずにいて。ただ、この至福の時に 目を瞑って浸っていたのだった。
エリ…。俺は、最低だ。
でも、どうか。
アンタの優しさにつけ込む俺を許して欲しい。
もう呪いでも、呪縛でもなんでもいいから。
俺は、アンタが側に居てくれないと駄目なんだ。
「スケ。……サスケー。サースケくーん」
心地良い微睡みの中で、カカシの声で意識が覚醒してしまう。
「…」はぁ
「失礼な子だな。
ため息つくなよ…」俺の声で悪かったね
『ほら、こんなところで寝ちゃったら風邪引いちゃうから。そろそろ帰ろう?サスケ君』
いつの間にかエリは、俺の膝の上から移動してしまっていた。
彼女がいなくなってしまった膝の上がやけに寒く感じた。