第20章 苛立ちと独占欲と、寂しさと呪縛と
…あれは、相当怒っていたな。カカシの野郎。
あの馬鹿上忍二人の処分は、カカシに任しておけば間違いないだろう。
おそらく情けない私怨も絡めて、相当な罰を科すはずである。
俺はすっかり人気のなくなった公園のベンチに、腰を下ろす。
エリも隣に降ろすべきだとは思ったのだが。なんとなく離れがたくて、自分の膝の上に抱いたまま。
意識のない彼女は、俺の胸板に頭を預けて気持ち良さそうに寝息を立てている。
そんなエリの額に、静かに唇を落とす。
勿論、罪悪感が全くないわけではなかった。が、俺の胸には温かい気持ちが広がっていた。
「……はぁ」
さきほど嫌という程、三人を見つめていて流石に気が付いた。
どうしてこうも俺は、今のエリを見ていてイライラが募るのか。
『…ん、、あ、頭いた…
って、サスケ君!?ち、近っ///』
俺は…
「エリ…どうして、治ったんだ」
『…え?』
「男性恐怖症も、接触恐怖症も。ずっと、治らなければよかったんだ。
そしたらあんたは、ずっと、俺だけと…」
俺は、寂しかったんだ。
ずっと、俺だけが彼女の特別でいたかった。
俺だけに触れていて欲しかった。
誰かの特別になんて、絶対になって欲しくない。
そんなのは耐えられない。
永久に…俺の側だけに、いてくれないか。
頼むから。
「頼むからこれ以上、俺から離れていくなよ…エリ!///」
もう認めるしかないだろう。俺は、エリを
愛しているのだと。
そうか、そうなのか。“恋”とは、人をこんな気持ちにさせる物なのだな。
俺はそれを初めて知った。
『…よしよし、』
「!」
突然、こんな理不尽な言葉を突き付けられたというのに。彼女は怒るでも悲しむでもなく。
俺の事を優しく抱き締めた。
『大丈夫…。大丈夫だよ』