第20章 苛立ちと独占欲と、寂しさと呪縛と
しかしその男性恐怖症も、接触恐怖症も、俺の協力の賜物なのか。ずいぶんと良くなったという。
俺がまだリハビリに付き合うと言っても、もうほとんど完治したからと断られてしまったのだ。
…まただ。なんだこの胸のモヤモヤと苛立ちは。ハッキリとしない、スッキリとしない感情は。
『サスケ君!お待たせ』
嬉しそうに、こちらに駆け寄ってくるエリの様子を見ていると。さきほどまでのドロドロとした嫌な感情が少しはマシになった気がした。
「…帰るぞ」
『あ、ごめんサスケ君…実は今日ね』
「忘年会?」
『そうなの…同じ非常勤の先生達に誘われて。
今日突然だったんだけど、色々と ためになる話も聞けそうだから参加しようと思って』
「…男か?」
『誘ってくれた人は男の人だけど、たくさん参加するみたいだから。きっと女の人もいると思う』
どうして、そんな嬉しそうな顔をして話すんだ。
『私…知り合いって今までそんなにいなかったから、こうやって誘ってもらえて凄く嬉しいんだ』
「……」
『友達とか、仲間とか…どんどん増えていくみたいで嬉しいな、って』へへ
アンタは…カカシや俺がいれば満足なんじゃないのか。他に知り合いなんていらないだろう。
そんな身勝手な感情を…エリに押し付けるわけにもいかない、か。