第20章 苛立ちと独占欲と、寂しさと呪縛と
『あれ?サスケ君?なんだか…も、もしかして機嫌悪い?』
「…分かった。カカシには俺から伝えとく」
『…ありがとう。冷凍庫に、作り置きのおかずがあるから。よかったら温めて食べてね?
じゃぁ…行ってきます』
「…あまり遅くならないうちに帰れよ」
エリと別れて、一人で廊下を歩く。
あんなに嬉しそうな顔をして、誘われた事を喜ぶ彼女を。どうして止められるだろう。
ああ、そうだ。誘って来た奴の名前くらいは聞いておけばよかったと後悔する。
というかそもそも、あいつ酒はどれくらい飲めるのだろか。忘年会と謳っているくらいだ。
まさか全く飲まない会のはずはないだろう。
「……」は
俺は、アイツの事を知っているようで全然知らないんだな。天井に向けて、ため息を吐く。
「まぢかよお前!上手くやったな!」
「チョロいチョロい。他にもたくさん参加する人いるし、せっかくの忘年会だからーって言ったらすぐ釣れたぞ」
「楽しみだなー!俺とお前と、彼女の三人で何して遊んじゃう!?」
「馬鹿だなーお前。そんなもん決まってるだろ…。なぁ?」にやにや
…前から歩いてくる上忍らしき二人組。
なんとなく耳に入って来た会話が、俺を不穏な気持ちにさせた。
いやしかし、まさかそんな偶然あるはずはない。
こいつら二人が今話していた内容が、まさかエリの事だなんてそんな偶然…。
でもまぁ、カカシなら。
またお得意のストーキングで事実を明らかにするのだろうが。
俺は、そんな馬鹿で情けなくて女々しい真似はしない。