第2章 優しい死神と、おにぎりと大根と
『それにしても、少し買いすぎましたか?
私も持ちますよ』
「いや、大丈夫」
結構な量の野菜を、彼が全て引き受けてくれている。やはりカカシは優しい。
「でもこれだけの野菜を選ぶ時、君は一切野菜に触れなかったよね。
普通は手に取って、確認してから買うものじゃないの?」
『あぁ…』
なるほど。それで彼は私が野菜を選ぶ時、じーーっと私を凝視していたのか。何をそんなにも見つめる必要があるのかと、気になっていたのだ。
『私…買いもしない物をべたべた触る人が…どうしても駄目なんです』
スーパーなどで山積みされた野菜を、まるでその全てに触れないと気が済まない!という勢いで触り、物色する人を目撃する度に私は嫌悪感を抱いていた。
『色艶や棘の有無なんか、見るだけで分かりますから…。触れるのは、買う!と決めた物が腐ったり傷んでいないか確かめる時だけですね』
「へぇー…なるほど。君は本当に、面白いね」
今日何度目かになる、その言葉を。どう受けるべきなのか考えながら二人で歩き続ける。
褒め言葉なのか?それとも馬鹿にされているのか?
『あ、そうだ。はたけさん』
「ん?」
『私、はたけさんに確認したい事があるんです』
なんとなく前置きをしてから、今日留守番の際中に考えていた質問をぶつける。