第19章 見舞いとミスジと、鳥と休息と
『ねぇ、サスケ君はさ…熱が出た日、私と何があったか覚えてる?』
「何が…あったか?……迷惑をかけたな。医者まで走らせて、看病もさせた」
『…いや、そんなのは全然、良いんだけど。そっか…』
うん。やはり、彼はあの日の事はそれくらいしか覚えていない。
私を襲った記憶がごっそり抜け落ちているのだ。
それならそれで良かった。いや、むしろありがたい。私も気まずい思いをしなくても済むし、熱のせいに出来る。
しかし…
「カカシは昨晩帰ってきたのか」
『!!』
そう。カカシだ。彼の場合はおそらく…
「珍しいな。裏仕事で病院コースじゃないのは」
『…覚えてるんだろうなぁ…』たぶん
「??」
カカシはまだ目を覚ましていない。おそらくは疲れがまだ取れないのだろう。
激しい任務の後に、興奮するような事をしたのだ。疲労が募って当然だ。
『なんでもない。はいこれ、お弁当。
今日もお仕事頑張って。無事で帰ってきてね』
「あぁ。分かってる」
完全に回復したサスケを、玄関から送り出す。いつも通り彼は私が作った弁当を持ち。小さく、行ってきます。と呟いて出て行くのだった。
私はお盆に、朝食を乗せて寝室に向かう。むろん、カカシへだ。まだ起きてきていないが、そろそろ起こしてご飯を食べてもらおうかと考えていた。
私はリビングを出て、廊下へと踏み出す。
するとそこには。
『っひぁっ!!///』びく
薄暗い廊下で佇むカカシがいた。
彼はさめざめといった様子で、両手の平で自らの顔を覆っていた。