第19章 見舞いとミスジと、鳥と休息と
『は、はたけさん!本当に心臓に悪いので、気配消して近くにいるのやめてもらっていいですか!?』
あやうく手に持つお盆を落としてしまうところであった。
「……」
ようやくカカシは、顔から手をどかして素顔を見せてくれた。サスケがいない事を分かってだろうか?マスクはしていない。
『朝食、食べられそうならリビングで食べますか?』
私は一足先に、リビングへ戻りお盆を机の上に置く。
振り向くが、カカシはついてきていなかった。あれ?と思い、彼の姿を探しに再度廊下へ。
『はたけさん?』
「昨日は…昨日はごめっ」
カカシがリビングへ一歩踏み出した瞬間、ほんの少しの段差につまずき、彼の大きな体がぐらりと傾く。
『!!!あぶっ
私は思わず彼の体を支えようと手を伸ばすが、とてもじゃないが受け止めきれない。
カカシが私の上になだれ込んでしまう情景が、頭の中でも見えた。
「……っ、ごめん、エリ…大丈夫?」
床に頭をぶつける寸前、カカシの大きな手が私の後頭部を包んでくれた為、床に頭がぶつかる事はなかった。さすがの反射神経だと感心してしまう。
まともに歩ける体力が、まだ回復していないのだろう。
『大丈夫です…こちらこそ、支えきれなくて』
はた。と至近距離でカカシと目が合う。気まずい雰囲気が二人を包む。
そして、お互いが昨日の夜の事を思い出しているのだと分かる。
「…ごめん、…ね」
『…何に、対しての謝罪ですか。それは』