第18章 狐と本能と、血と炎と
一気に捲し立てたので、カカシは呆気に取られているのか。驚いたまま固まって動かない。
私はカカシの口布を、するりと上げ。そして両手を彼の顔を包み込むように添える。
そして、彼の唇の膨らみに、自らの唇を押し当てた。
数秒間経った後、一度離して。角度を変えて再度押し当てる。
それはまるで、子供のままごとのようなお遊びのキスのようだったが。
私から彼に触れる事が出来るギラギリのラインだった。
何度も、何度も。同じ事を繰り返す。
布越しのキスではあるが、彼の柔らかい唇の感触はハッキリと私に伝わってくる。
という事は、彼にも私の唇の感触も伝わっているはず。そう考えるだけで、息が上がるくらいに恥ずかしい。
『は…///はたけさん、どうですか?
生きてるって…実感、持てましたか?』
「……エリ、ごめん…ちょっと、もう 抑えがきかない。全然…足りない」
自らの手で口布を勢い良く降ろし、私を見下げる。
その瞳は、まるで人の物ではなくて獣のよう。
しかし不思議な事に、恐怖心は一切湧いてこなかった。
私がそんなふうに感じているなど、カカシは微塵も思ってないだろう。
顎を強引に持ち上げられて、すぐさま唇を貪られる。まるで唇が食べられているかのような感覚に襲われる。
『……っ、ぅ、///』
そして すぐに舌が自分の中に侵入してきて、今度は舌が食べられてしまうのではないかという錯覚に陥る。
『ん、…っく///』
口の中には、もうすでに収まりきらない唾液が
溢れる。そのどちらの物か分からない唾液を飲み下す時の喉音が、静かな部屋に響いてしまってひどく恥ずかしい。
「は…、///」
カカシは、我を忘れたかのようにただただ私とのキスに没頭する。
頭がおかしくなってしまいそうなくらいの巧みな舌使いに、腰が砕けてしまいそう。
もしも今、立ったままこの口付けを受けていたなら。私は腰砕けにされて立っている事などままならなかった事だろう。