第17章 ※熱と不在と、再会と頭突きと
次の日は、熱が上がったり下がったりを繰り返していた。
私が仕事に行っている間も、彼は布団の中で苦しんでいたのだろう…。
そして翌々日の夜。
『…今日はそこまで高熱出なかったね』
どうかこのまま、症状が落ち着いてくれる事を祈るばかりだ。
私がいた世界では、インフルエンザは特効薬をすぐに飲みさえすれば、割と早く熱は引くのだが。
この世界の薬がそうだとは限らない。
「ありがとう…だいぶ楽だ」
熱いシャワーを短時間浴びたサスケは、濡れた髪のまま布団に入る。
どうやら、なんとか風呂には入れたものの髪を乾かす気力までは残っていない様子。
『サスケ君、それじゃぶり返すよ?座って?』
私は洗面所からドライヤーを持って来て、大人しく座るサスケの髪に風を当てる。
「……」
暖かい風を頭部に受けるサスケは、どこなく心地好さそうで。
『…ふふ、サスケ君、猫みたい』
「は!?」
急に振り向くサスケ。温風を顔面に受けてしまう。
『ほら、もう前向いてて』
「…///」
彼の黒髪に、丁寧に指を通しながら水気を飛ばしていく。
『……はい、お待たせ。乾いたよ』
「あぁ…世話を、かけた。ありがとう」
やはり体が弱っているからだろうか?普段よりも格段に素直なサスケが、しおらしくて可愛くて仕方がない。
「迷惑ついでに、…いいか?」
『ん?なに?』
「……手を」
布団の中から、左手を出したサスケ。
眠りにつくまで手を握っていて欲しいだなんて、なんと可愛いワガママだろうか。
『…勿論。早く元気になってね…
おやすみなさい。サスケ君』