第16章 桜と猪と、講義と欲求不満と
私は、バン!と日誌を教卓に叩きつけ、あえて大きな音を出した。
全員の注目を再び私へと集める。
『私にとって、サスケ君とはたけさんは、たしかにかけがえのない大切な存在です。
それは、皆さんが想像も付かないくらいの気持ちでしょう。
でも…色や恋とは違うんです。断じて。
…まぁ、今のところは?ですけど』ふふ
そして、これ以上ない微笑みを浮かべて言い放つ。
『男女間に、恋愛感情しか想像出来ないなんて。
可哀想に。欲求不満なんじゃないですか?
よかったら、欲求不満に効果的な食事も、食育の項目に追加しておきましょうか?』
私の衝撃的な発言に、しーんと静まり返る教室。
「欲求…不満…。ふっ…、はは」
サスケが珍しく、軽い声で吹き出して笑う。それを皮切りに、他の受講生達も笑い出し。
やがてそれは大きな笑いの渦となっていった。
質問を始めた二人の女性の受講者は、顔を真っ赤にして俯いていたが。やがて教室を出ようと席を立った。
『待ちなさい』
私は二人に近付く。そして、その顔をじっと見つめる。
「な、なによぉ」
『…肌が荒れてますね。
肌荒れには、茄子がおススメですよ。茄子の皮に含まれているナスニンはポリフェノールの一種で強力な抗酸化作用が含まれているため、美肌に効果があります。あと
大根おろしと一緒に食べることで、おなかの調子も整うので、吹き出物ができやすい人にも良いと思います。
あとあなたは、少し目の下にクマが出来ていますね。クマ解消の食べ物なんかもあるんですよ?
レモンやアセロラ、キウイフルーツなどを摂取するのがおすすめです。ジュースなんかを朝作って飲むのが最適と思います』
一気に話した私を、二人だけでなく教室中の受講者が見つめている。
熱心にメモを取ってくれている女性達も目に入った。