第15章 見聞と新聞と、建前と本音と
私の講義は週二回。
一回は座学。もう一回は調理実習で実際に受講者と共に調理をする。
『確かに…。座学の場合は、どの大きさの教室を手配すればいいかを決めるだけなので、大体の人数だけ分かればいいんですけど』
「調理実習の際の、出席カード提出の締め切りは二日前に設定してあるので。だから食材の手配は問題なく間に合うはずです。
あと手配は本当に俺がしなくて大丈夫ですか?」
『大丈夫です!伝書鳩の飛ばし方は もう覚えたので。任せて下さい』
実は、この世界での通信手段として主流なのが伝書鳩の様な鳥を用いた物だった。
当たり前だが、そんなもの私は使った事もない。
イルカに教えてもらう事になったのだが、私が使い方を知らなかったので。そんな人がこの里にいるのかと、イルカを酷く困惑させてしまった。
「おーいイルカ、ちょっといいかー?」
「?ちょっと待っててくれ!」
遠くのデスクから、イルカを呼ぶ声。どうやら他の先生からのヘルプのようだ。
『あ、私ならもう大丈夫です!出席箱確認して帰りますね』
「そ、そうですか…了解です。また何か分からない事があったら いつでも相談して下さい」
『ありがとうございます。では、お先に失礼します』
「はい、お疲れ様です…」
「……イルカ、俺邪魔しちゃった?」にやにや
「な、べ、別にそんなんじゃない///!!」
相変わらずイルカは忙しそうだった。
今回、私の講義がスタートするにあたっての教本の手配、模擬授業、デスクの用意、アカデミーの案内に、諸々の説明。
全てをイルカが世話してくれた。
彼には何だかんだお世話になりっぱなしである。また何かお礼をしないといけないなぁ…