第1章 死と異世界と、質問と銀髪と
「おい、カカシ。…これはなんだ」
「んー……人?」
「っチ。そんな事は分かってる。
俺が聞きたいのは、コイツがいつどうやって急に俺達の前に現れたのかって事だ」
「いやサスケくん落ち着いてよ。
なんでもかんでも分かんない事先生に聞けば即解決。なんて、毎回そんなに ことは上手く運ばないでしょ」
覚醒しかかった意識の中で。
男性の声が、たしかに私の鼓膜を打っていた。
彼等は、おそらく私の事について議論しているのだろうと予想はついた。
「いくら手合わせ中だったとはいえ…
俺達に全く気取られないでこれだけの間合いに入るなんて真似、出来ないだろ普通」
冷たさはあるが、凛とした綺麗な声。
まだ成熟しきっていない青年を思わせる。
「…普通は、ね。
いや、ていうかそもそも寝てるけど、大丈夫なのかな?この人」
多少投げやりな感じは否めないが。優しそうで落ち着いた、大人の男性の声。
そんな彼らの声は、私の心を落ち着かせた。
いつまでも拾っていたくなる。
「…呼吸も脈も正常。外傷もないな。
ま!念の為に医者に行ってくるよ」
ふわりと、体が宙に浮く感覚。
「ここに放置しておくわけにも行かないしな。
どう見ても怪しすぎる」
「サスケも付き合うか?病院」
「俺は行かない」
「そう言うと思った」
まるで空でも飛んでいるかのような浮遊感に、再び意識が深く沈み行く心地がした。