第1章 死と異世界と、質問と銀髪と
——point of view はたけカカシ
自分でも不思議だと思うけれど。
彼女を見た瞬間分かったんだよね。
本当になんとなくだったけど
あぁ、彼女はこの世界の人間じゃないんだろうなって。
もちろん珍妙な服装をしていたから。
ってのもあるけれど。
それ以上に…なんだろう。雰囲気?違和感?
なんにせよ自分の周りにはいない類のオーラを 彼女は放ってた。
そんな事よりも もっと俺の中で受け入れがたい事実があった。
それは彼女の瞳だ。
こんな事を思う事自体が失礼かもしれないが、その瞳には生気とか
希望の類が一切感じ取れなかった。
全部がどうでもよくて
投げやりになっているような、悲しい瞳だね。
なにが彼女をそんなふうにしているのか、自分でも驚くくらい気になった。
ま、とりあえず彼女はしばらく俺の近くに いてもらう事にしようか。
それなりに共に時間を過ごせば、俺のこの形容しがたい気持ちにも明確な名前を付ける事が出来るかもしれないし、
もしかすると、彼女がなぜそんな瞳で世界を写しているのか。
その答えも見つかるかもね。
そんな事を考えているとは、目の前の彼女は知る由もないだろう。
そして相変わらず全てを諦めたような目をして、ゆっくりと彼女が口を開いた。
そしてその唇で自分の名を紡いだ。
中崎エリ。と