第14章 ピンクの矢印と、食育と先生と
教室を後にして、演習場に再集合させられた受講者達。
明らかに、カカシの気まぐれに付き合わされているものだと勝手に思っていたのだが。
みんなの顔は嬉々としていた。
「今日は可愛い見学者もいる事だし…
せっかくだから、軽く体動かそうか」
そう言ってカカシは私を見る。
その視線を追って、私を確認する幾人かの受講者。なんとなく気恥ずかしい…
しかしなるほど。受講者達が喜んでいたのは、これを期待していたのだろう。
やはりみんな、カカシと手合わせする機会を望んでいるのだ。
「最悪…!今日は座学の予定だったろ、俺の昼寝が…」クソめんどくせぇ
…まぁ、全員が全員そういう考えを持っているとは限らないようだが。
カカシが、まるで呼吸をするのと同じくらい自然に印を結ぶ。
すると、なんとカカシが三人になってしまったではないか。
『!!』
それだけでも、私は腰が抜けるくらい驚いた。
声を上げなかった自分を褒めたいくらいだ。
これが、いわゆる影分身。というやつだろうか。
漫画やアニメでしか見た事のない世界が今、私の目の前で繰り広げられていた。
幾人かの受講者が立ち上がる。その中にはサスケもいた。
カカシはそれを確認すると、親指以外の四本指を天に向け、くいくいと曲げた。
彼等に対してまるで挑発のようなポーズ。
その合図を皮切りに、三人の受講者がそれぞれカカシへと向かって走り出した。
突如として三組の戦闘が開始された。
私は迷う事なく、その中の一組に目を向ける。
それはもちろん カカシとサスケの組だ。