第13章 初任給と偶然と、パンツと学校と
「よかったな。…この世界での、お前の初任給だ」
『うん…っ』
女将さんが私に手渡してくれた物は、三日分の私のお給料だったのだ。
「しかし、クズ息子を更生させてやったんだ。
もっと踏んだくってもよかったんじゃないか?」
相変わらずの、サスケの容赦のない言い方。だが私はこの歯に絹着せぬ言い方が好きだ。
『いいの。あれは私がやりたくてやった事だから。これからも魚沼で買い物が出来るだけで、じゅうぶん』
「それにしても、良い使い方をしたね。お給料」
『…そうですかね。だと、嬉しいです』
「やっぱりお金の使い方って、その人そのものを表すから。
価値のある使い方をするのか、それとも無駄に使ってしまうのか。
俺はさっきの使い方は、とてもエリらしくて好きだと思ったよ」
『本当ですか?ありがとうございます』
カカシに褒められると、素直に嬉しい。少しだけ誇らしい気持ちになれた。
「残りは何に使うんだ?」
『…実は、もう使い道決めてあるの。今から買いに行こうと思ってる』
私はサスケの質問に、ついつい嬉しくなって声のトーンを上げてしまう。
「そうなの?じゃあ付き合うよ」
『いえ、お二人はこの鰹持って先に帰ってて下さい。
私が何を持って帰ってくるか、楽しみにしてて下さいね!』
「その言い方だと…俺たちにも関係あるのか?」
「サプライズってやつだね。ま!でも俺は、君には自分の為に使って欲しいけどね…」
『大丈夫です。三人の為になる物ですから。期待してて下さい!』