第10章 仕事と自立と、喧嘩と鯛と
『はたけさん…』
「!悪いね。起こしちゃった?」
時刻はまだ四時。さすがに辺りはまだ暗い。
『いえ、私が勝手に起きたんです。
行ってらっしゃいを…言いたくて』
「……そっか。ありがとう」
『あの、はたけさん!私…』
どうしても、仲直りしたい。
いや、私が独り相撲しているような状況だ。
仲直りという言葉が適切かは分からない。
「…なに?」
『…あ、の』
ごめんなさい、すみません。
いや…明確に原因が分かっていない上、自分のどこが悪かったのか自覚していないのだ。
そんな状況で謝ってところで、相手に失礼なだけだ。
私は色々な言葉を心の中にしまった。
『…いえ。本当に、お世話になりました。
また…会ってくださいね』
「…うん。じゃ、またね」
カカシが出て行った数時間後。
私はサスケと共に魚沼まで並んで歩く。
『荷物少ないから、お見送りなんて本当によかったんだよ?』
「いや、俺が勝手にやっているだけだ。
だが…本当に行くのか?」
『うん。前から決めてたから!』
「…なんなら、……俺と、暮らすか?」
私は、ここまでサスケに気を使わせるほど暗い顔をしていたのだろうか。
『…サスケ君、ありがとう。でも私は大丈夫。サスケ君は、はたけさんの元で修行中だもん!
私、応援してるよ』
「別に修行なら、家を出たってつけてもらえる。
カカシは、俺に身の回りの世話を押し付ける為に家に置いてるだけだ」
『それも重要な修行だよ?きっと』
「…いや、そんな事より俺は…住み込みの仕事だとか言って…アンタがここを離れる方が、なんだか不安なん」
「お前がうちの新しい手伝いの人か?」