第9章 命の使い道と、運命とプロポーズと
「ねぇ、君が言った、いくつかの候補。の中には俺もちゃんと入ってる?」
突然何を言い出すのかこの人は。
『あ、あんなのは、誤魔化す為の常套句に過ぎませんよ!』
「なーんだ…でも、そんな常套句持ってるのは多分君だけだよー」
カカシは残念そうに頭の後ろで腕を組む。
「あの人絶対またエリに会いに来るよ!?今後の事考えたら憂鬱だな…」
私たちは、詰所を出て二人家路に着く。
『…そんな風には見えませんよ?はたけさん、楽しそうです』
「……俺、そんなに分かりやすいつもりはないんだけど。君には敵わないね、どーも」
前を歩くカカシの背中が、少し速度を落とす。
「先生はね、俺の大切な人だから。やっぱり幸せになって欲しいんだよね。
クシナ様が亡くなった時も…周りには隠してたけど、死ぬほど辛そうだったし。
火影って立場もあって、俺では想像もつかないくらい苦労や心労もあるだろうし。
誰か、隣で先生を支えてくれる人がいればいいなって、思ってたのは…本当」
ぽつり、ぽつりと話してくれるカカシ。
本当にミナトを慕っている事が分かる。
カカシは、ミナトが大好きなんだ。
『あの、私やっぱりプロポーズ受けます』
「おい待て待て。なんでそうなる」
『?だって、はたけさんが言ったんですよ?ミナトさんに幸せになって欲しいって』
「いや言ったけど!なに…
エリは、俺が先生と結婚してって言ったら結婚するの?」
『はい』
私とカカシの間を、乾いた風が通り抜ける。
「エリは俺が…
死ねって言ったら死ぬの?」
『はい』
私は…この世界に来てから カカシとサスケの二人に生かされた。
私がここに、この世界に生きて存在している事に、もし意味があるというなら。
それはきっと…
『私、この命は二人の為に使いたい』