第9章 命の使い道と、運命とプロポーズと
———約三ヶ月前
「……暇だね」
いくら暇だからと言って、任務報告書を提出に来ただけの俺を引き止めるのはやめて欲しい。
「もう俺帰りますよ」
「待ってよ!どうせカカシだって、真っ直ぐに家に帰っても可愛い女の子が待ってくれてる。
ってわけじゃないんでしょー?」
この人は、喧嘩を売っているのだろうか。まぁ、実際俺の帰りを待つ人間などいないのだが。
「俺が家に帰ったらさ。
ご飯にする?お風呂にする?それともー…
とかって!やってくれる嫁が欲しいよ!!」
クシナを失ってからずいぶん経つ。表立っては見せないようにしているが、相当寂しい思いをしているのは明白だった。
「…冗談抜きでナルトの為にも 可愛くて楽しくて、厳しくも優しい、料理が上手い 新しいお母さんをって…最近やっと考えられるようになったのさ」
それにしても、条件が多い。
「ま…いいんじゃないですか。里の為にも、貴方の再婚は望まれる事でしょう」
「建前はいいよ…本音は?」
「俺は…先生には幸せになって欲しい。その為なら、いくらでも協力しますよ」
俺がそこまで言うと、ミナトはにんまりと満足げな顔を浮かべた。
「ふふ。じゃあ早速考えなくちゃ。どんな花嫁さんがいいかな!
クシナみたいに、一緒にいて退屈しないような人がいいな…
俺の知らない話たくさん知ってて、火影の肩書に気を使わない人がいい」
そんな稀有な人…そうは簡単に浮かばない。その時、俺はいい加減な言葉を吐いた。
「…もういっそ、異世界から口寄せでもしてしまった方が簡単なんじゃないですか」
出来る事なら、ですけど。
そんな言葉を添えて、俺はミナトに言った気がする。
「…ふむ。…いいねカカシ!!それ面白いよ!あははは」
満足げな、いつものこの人の顔だ。