第9章 命の使い道と、運命とプロポーズと
「君は、あまり笑わないね…」
私とカカシが話している隣で、ミナトがぽつりと呟くように言った。
「…ずーっと笑ってなかったみたいだからね、表情筋が死んでるんじゃない?」
『は、はたけさん!それはさすがに失礼ですよ!私に!』
「あはは、ごめんごめん、冗談だよ」
私達をじっと見つめるミナトの視線が気になって。私は自分から話を本題に促す。
『そんな事より…いい加減に教えてもらって良いですか?とりあえず…ミナトさんは、何者なんですか?』
あ、そうかそうか と。ミナトはずっと自分を隠していたフード付きのロングコートを脱ぐ。
「申し遅れたね。俺は木ノ葉隠れの里 四代目火影をやってます。波風ミナトです。改めてよろしくね?」
『………ほか、げ』
「なーにが申し遅れた、ですか…。確信犯でしょ。あえて隠してたくせに」
「あれ、バレたー?いやー、その方が面白いかな と思ってさ」
火影。こちらに来たばかりの私でも、さすがに聞いた事のある単語だ。それにこの顔は…どこかで見たような気がする…
後で思い出したのだが。私がミナトの顔を見たのは、ある写真の中だった。
カカシのベッドの側に置かれた写真立てがある。そこには確かに彼の姿が映っていたのだった。
それにしては、写真の中のミナトと今のミナト…あまりにも風貌が変わっていない。カカシの方はまだ随分お幼かったというのに…
ミナトは、まさか不老不死?
いや、今はそれよりも。火影といえば…
『火影…めちゃくちゃ偉い人…首相…大統領…王様、王様…』ぶつぶつ
「あっははは!想像以上に驚いてくれたね。何言ってるのかほとんど分からないけど大成功」
改めて彼を見上げる。
相変わらずたんぽぽみたいな綺麗な金髪。空色の目。なんて澄んだ青色…。
見事な金髪碧眼だ。向こうの世界でも、外国人は特に珍しくなかったが。こんなにマジマジと見つめる機会はそうあるものではない。
「………ん?どうしたの?じっと見て。なにか珍しい?」
『……あ、いえ。すみません』
「いいよ?いくらでも見つめてくれて…」
『え!いやいや、大丈夫、です』
「ちょ、ちょっとなにこの雰囲気!反対!」