第9章 命の使い道と、運命とプロポーズと
——point of view 波風ミナト
食事の前に、きちんと手を合わせて“戴きます”をする。
箸の持ち方が綺麗で。
美味しい物を食べた時の表情が可愛い。
分かりやすくて律儀で真面目で、慎重で大胆で。臆病でお人好しで、あと横顔が綺麗。
沈黙が少し苦手なのかな?という印象。
それと…まぁ当たり前だけど、俺よりも全然カカシの方を信頼してる。
前から会いたいと思い焦がれていた彼女は、そんな人。一緒にいても飽きなくて、思い描いていた以上の人物だった。
俺は君に興味があるよ。
もっともっと君を知りたいし、君にも俺を知って欲しいと思ってる。
俺といてもあまり笑わないのに、カカシと話す時の表情はどこか違う。
安心して、全てを任せているみたいな顔してる。
二人との信頼関係を見せつけられてるみたいで、正直少し嫌な気分。
それに、君が泣きそうな顔をして俺を怒ってくれた時。
あれは完全にやられた。
恋って、するものじゃなくて落ちるもの。なんて事を誰かが言っていたけれど。
本当だった。
底の底まで落ちていく、あの感覚。
俺は、もう君なしじゃこの底から這い上がって行けそうにないや。
だから、どうかこの俺と一緒に。
これからずっと共に歩んでくれないか?共に時間を過ごしてくれないだろうか。
他の誰でもない、君が。この世界に来たのには絶対意味がある。
その意味が…俺と結ばれる事であったなら、こんなに嬉しい事はないのにな。
だからお願い。
この手を取って。