第8章 鹿とたんぽぽと、デートとご褒美と
「…カカシの命令で、見張りご苦労様だね。
シカマル君?」
そう言って男は、シカマルと呼んだ忍の方向へ直る。そして被っていたフードを脱いだ。
「…っぁ!?」マジか!
シカマルはその男の顔を確認してひどく驚いた様子だ。それほどフード男の正体が、予想外の人物だったのだろうか?
しかしこちら側の位置からでは男の顔を見る事が叶わない。
かろうじて見えたのは、たんぽぽのような見事な金髪…。
そしてすぐにまたフードを被ってしまう。
「さて君は、このままカカシの命令を遂行するのか。
はたまた俺の命令をきくか…どうするのかな?」
「〜〜、、俺が、あなたの命に背くなんて面倒な事するわけねェすよ。分かり切ってる事でしょ」
シカマルの顔は苦悶に歪んでいる。
『あ、あの』
口を挟むタイミングを逃してしまっていた私だったが、やっとの事で声をあげる。
「ん!良かった。許可が出たよ。さぁ出掛けようか。お昼は食べた?俺はまだなんだよね。オススメの店があるからさ。行こう行こう」
なんだろうか。この有無を言わさぬ雰囲気は。
私は助けを求める目でシカマルを見る。
「…すまん」めんどくせー
あぁ駄目だこの人。目が死んでる。
私は結局強引に、この謎の男性に外へと連れ出されたのだった。
まだこんなに日が高いうちに、外に出るのは久しぶりだ。
……とかなんとか考えている場合ではなかった。
私は本当に、この見るからに怪しいマント男についてきても良かったのか!?
いやしかしカカシの事を知っている口ぶりだったし…
私の見張り役であるシカマルも、一応は納得した上で私を外に行かせたように見えた…
それにこの人…
「……ん?」にこにこ
悪い人じゃないような気がする…