第1章 星降る夜になったら
程なくしてエマがこちらを向いたので、何を願ったのか聞いてみると、彼女は恥ずかしそうにして俯いてしまった。
「なんだよ、俺には言い難いことか?」
「そんなこと…すみません、やっぱりちょっと恥ずかしいです。」
「そう言われると気になるじゃねぇか。何だって言うんだ。」
「や…む、無理です!言えませんよ。あ!ほら!願い事人に言っちゃうと叶わなくなるって言うじゃないですか?」
「お前…それは初詣だろ。」
「え!そうでしたっけ?!で、でもとにかくリヴァイさんには言えません!」
エマは慌てふためきながらもなかなか言おうとしない。
でもそれをなんとか言わせたい。リヴァイは思いついた。
「俺も願った。」
突然の告白にエマは目を丸くしてリヴァイを見る。
「お前が必死こいて願ってる間に、な。」
空を見ながら話しているからエマとは目は合わないが、“物凄く気になる”オーラを放っているのを察した。
「何を願ってたのか、聞いても…?」
「別にいいが、お前の願い事を聞かせてもらってからだな。」
「え?!そんなのずるいです!」
「ずるいも何もあるかよ、先に聞いたのは俺だろ?」
「う…」
確かに言っていることは正しい…
余裕綽々なリヴァイに、エマはそれ以上言い返せなくなってしまった。
どうしても言わなきゃいけないのだろうか…
こんな願い事を本人に言うなんて、恥ずかしすぎてどうにかなりそうだ…
リヴァイさんと、一分一秒でも長く一緒にいられますように
だなんて。
「…………」
「あの、やっぱり言わなきゃダメですか…?」
「当然だ。」
「うぅ……」
「………」
どうやらこのまま見逃してはくれないらしい。
沈黙が苦しくなってくる。
何か、何か気をそらすようなことを言わなければ…
ダメだ…何も思いつかない!
ポンコツな脳みそが嫌になった。
「俺はあまり気が長い方じゃないんだが、」
「っ!まっ、待ってください!今言いますから…はっ!」
しまった…焦って勢い余った発言を…
「やっと言う気になったか。」
「あーもう、」
どうなってもいい!
スーハスーハーと深呼吸をして、エマは強い瞳でリヴァイの目を見つめた。