第1章 情報屋X
零と再会した日から数日後
私はサングラスを掛けて
零が潜入の為にバイトをしている
ポアロへ遊びに来た
安「いっらしゃいま…せ」
笑顔が引きつったのを
私は見逃さなかった
何故ここへ来たんだ、
今すぐ帰れ、と言いたそうな顔を
こちらに向けながら
奥のテーブル席へ案内される
ここへ来たのは
零の作る噂のハムサンドを
食べてみたかったから…
というのもあるけれど
実際、ただ零に会いたかったから
コーヒーとハムサンドを注文する際、
零が耳打ちをした
降「早く帰って下さい」
『嫌よ』
他の客には見えない位置で
私をギロリと睨んでくる
彼は席を離れて
カウンターの裏へと戻っていった
暫くするとコーヒーと
ハムサンドをテーブルへ運んでくれたが
この時もしっかりと睨みを利かせてきた
コーヒーを口に含みながら
零が安室透として働く姿を見つめていると
カランコロンとドアベルが鳴る
そちらに目を向けると
例の彼女と男の子、
江戸川コナン君が店内に入って来た
零のバツの悪そうな顔が見えた
当然、私と彼女を
会わせたくは無かったでしょうに。
彼女達はカウンター席に
座って零とお喋りを始めた
零はこちらを気にしながら
会話を合わせている
先日、零に渡した組織の情報の事で
情報屋Xの存在を彼女に話していたのか
どうやら彼女は情報屋X、
即ち私を探している様子だった
零の顔は最悪だとでも
書いてあるような表情で。
皿の上に残った最後のハムサンドを
口の中に入れてレジに立つ
とても有意義な時間を過ごせたわ。
色んな意味を含めて『ご馳走さま』と
笑顔で伝え会計を済ませた
安「有難うございました」
零の目は笑ってないけれど
笑顔を作っていた
私は零に信頼を得るどころか
とことん嫌われている様だった…
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