第11章 第十一話 ジョーさんのクリスマス
「今夜は冷えるぜ…」
山から冷たい風が吹いてきました。
見上げた夜空は月が曇り始めています。
狼族は仲間だけの群れで移動しながら生活をしていました。
しかも誇り高く、他の動物達と関わる事を禁止した掟がありました。
群れからはぐれて、源さんに世話になっていたジョーさんは群れに戻れなくなったのです。
そのため、ジョーさん一家は群れから離れ、この野山で暮らすことになりました。
しかし、狼族は他の動物達からは怖い存在だったので、ジョーさんはいつも一人ぼっちです。
「ジョーよ、お前は一人ぼっちではないぞ
ここにはお前と同い年の山猫のノラや熊のゴンがいる
仲良くするんじゃよ」
源さんはジョーさんにノラさんとゴンさんを会わせました。
すると三人はすぐに仲良くなり、いつも一緒に遊ぶようになりました。
この三人が遊ぶ姿を見て、他の動物達もジョーさん一家と仲良くなりました。
ジョーさんが一人前になった頃、狼族の群れが野山の近くに来ました。
狼族から使いが来て、群れに戻っても良いと許可が出ました。
「俺はここで育ったから、ここに残るよ」
そう言ってジョーさんはこの野山に残り、両親は群れに戻ったのです。
「ジョーよ、本当に良かったのか?」
「今更、群れに戻っても俺の居場所はない…
でも、ここなら仲間も居るし大丈夫さ」
源さんの心配にジョーさんは笑顔で答えました。