第11章 第十一話 ジョーさんのクリスマス
「さて、夜回りに行くか…」
日が暮れて夜の帷(とばり)が下りる頃、狼のジョーさんはいつもの様に野山を見回りに出掛けます。
「あっジョーさん、いつもご苦労さまです」
配達帰りのアライグマのマコトさんが挨拶しました。
「マコトか…今日は遅いんだな」
「年末だから忙しくって、やっと終わりましたよ」
マコトさんはやれやれと言った素振りをしました。
「気をつけて帰れよ」
「ありがとうございます
それじゃあ、メリークリスマスです」
マコトさんの挨拶にジョーさんは今日がクリスマスイブだと気づきました。
(そうか…今日はクリスマスイブか…)
ジョーさんは夜空を見上げ、夜回りを続けます。
山猫のノラさんの店の前を通ると、中から楽しそうな笑い声が聞こえてきました。
(そういえばガキの頃はノラやゴンとクリスマスパーティーしたな…)
ちょっと立ち止まって、また歩き出しました。
ジョーさんは小さい頃この野山に迷い混んできました。
群れからはぐれてしまった様です。
「おや?迷子かのぅ?
親御さんが迎えに来るまで、うちに居なさい」
それを梟の源さんが見つけ、迎い入れました。
数日後にジョーさんの両親が来ました。
しかし、ジョーさんはこの野山に残る事になりました。
それは大人の事情があったようです。