第4章 ブレスレット
空は暗くなってきている。まだ帰って来ないのかな。
なんだか眠くなってきた。
まぶたが重い。
このまま寝てしまいたい。
でもご飯作らないと。それに、お兄ちゃんの帰りを待ちたい。
あの女の子と帰ってくるんだろうけど、待っていたい。
ああ、でも起きていたって……
『……寝よう』
やっぱり眠気には勝てない。
少しだけ寝よう。
10分、いや、5分だけ…
…………………………
…………………………
…………………………
「──て、─き──おき──」
声がする。
なに、と思いながらゆっくりと目を開ける。
目を開けると、お兄ちゃんの姿があった。
「風邪ひくよ」
私が寝ている間にいつの間にか帰って来ていた。
『……』
ゆっくり起き上がる。
『おかえり…今何時……』
畳に直接寝ていたから身体が痛い。
「ただいま。9時過ぎだよ、ご飯は?もう食べた?」
『……あ、作って、ない』
辺りを見回してみる。
『あの子は?』
あの女の子の姿が見当たらない。
「鏡花ちゃんのこと?与謝野さんのところに泊まるって」
『……そうなんだ』
という事はお兄ちゃんと2人きりだ。
2人きり。
嬉しい。
顔に出ないように、心の中で喜んでいると「」とお兄ちゃんに名前を呼ばれた。
「最近できていなかったから」
そう言って、私を抱きしめた。
『……う、ん』
久しぶりに抱きしめられて嬉しいのか、少し目頭が熱くなってきた。