第4章 ブレスレット
最近家でも何も話していなくて、兄妹なのに声をかけにくい。
夜も何もなくて、お互いどう思っているのか分からない。
『お兄ちゃん……』
呟いてみるけれど、ただ寂しくなるだけ。
大好きな兄じゃなくなってきているみたいで、寂しい。
いつまた"仲"のいい兄妹になれるか不安でいっぱいだった。
あの時みたいに──。
「」
考え事をしていると、また声をかけられた。
その声は大好きな兄の声だった。
は驚きのあまり身体をビクつかせた。
「国木田さんから聞いたよ、一緒に書類まとめるんだってね」
『あ……うん……』
急に敦に声をかけられて、心臓がドクドクとうるさい。
頭が真っ白になってなんて返せばいいのか、思考が止まる。
『え、あ…ほ、報告書終わった?』
「うん、谷崎さんが手伝ってくれて。は?何かまだ仕事ある?」
そう聞かれてはううん、と首を横に振る。
「じゃあ今からしようか?」
うん、とだけ言っては立ち上がった。