第4章 ブレスレット
探偵社に戻ると、の予想どおり太宰の姿は見当たらなかった。
敦は谷崎と行った依頼の内容を報告書にまとめていた。
2人は随分と忙しそうで、声をかけれそうになかった。
は何か仕事がないか探してみる。
けれど、何も無くてデスクにぽつんと座る。
何分かそうしたままでいると「」と名前を呼ばれて、声のした方に顔を向ける。
声をかけたのは国木田で、「理想」と書かれた手帳を片手に持っていた。
「今小僧と喧嘩しているのか?」
『喧嘩…?してませんけど……』
何故そのようなことを聞くのか分からなかったが、聞かれたことについてちゃんと答えた。
「なら資料室の書類をまとめてくれ」
『え、でも…お兄ちゃん今お仕事忙しいから…』
「今週中まででいい。社長からの頼みなんだ。」
『分かり、ました…』
国木田は腕時計を見てスタスタとすぐにその場から去って行った。