第4章 ブレスレット
資料室に入って奥の方に進むと、机があってそこに大量のプリントとファイルが置かれていた。
これを棚に片付けるのかな、そう思いながら作業を始める。
理由はないけど、この作業今日中に終わらせたい。
本当は2人きりって言うのが気まずいからかもしれない。
いろいろ事件の調査や依頼の書類がある。解決したのだろうか。凄い、と感心していると一つのファイルが目に付いた。
『これ……』
そのファイルを手に取る。
難しい漢字が書かれているから読めないけど、【泉鏡花】という漢字は読めた。
あの子についてのだ。
せっかく大嫌いな孤児院から出れて、大好きなお兄ちゃんと2人でいられると思ったのに。
あの子が来てからお兄ちゃんとの距離が離れて悲しい。
やっぱり私幸せになれないのかな。
醜い嫉妬だって分かっている。だけど……
私は少し気になって、ページをめくってみる。
『ポートマフィア…35人殺し…異能力者……』
文字を読む。たくさんのページに文字が書き綴られている。
ぱらぱらと他のページもめくってみるけど、長くて読めそうにない。
「」
『!』
お兄ちゃんから声をかけられて、またびっくりした。
「どうしたの?」
『あ、え、っと……これ、ど、どこに置くのかなぁ、って……』
どこに置くかはわかるけど、どうはぐらかせばいいのか思いつかなかった。
「それはここだよ」
かして、と言われてお兄ちゃんに渡す。
『ありがとう……』
「ううん、量が多いから大変だよね」
そう言って、お兄ちゃんはファイルを棚に並べる。
『わたし、あっちの並べるから…』
私は逃げるように、お兄ちゃんから離れた。