第3章 身近
「鏡花ちゃんのこと?もしかして何かあった?」
私は首を横に振る。
「じゃあ、どうして…」
こんな事言うべきか迷ったけど、私の今の気持ちを知ってもらいたくて話すことにした。
『お兄ちゃんがあの子と一緒にいるの見てて嫌なの』
わざわざ気持ちを伝えなくても、分かってもらえると思った。
気づいて欲しかった。
でも、そんな事なかった。
『なんであの子と一緒にいるの』
どうして、と問いかける。
「彼女、孤児なんだ。それで、ポートマフィアに拾われたんだ。でももう殺しをしたくないって…。だから救いたいと思ったんだ」
その言葉を聞いて、お兄ちゃんらしいなと思った。
どうしてか分からないけど、涙が溢れそうになる。
だけど、涙が零れないようにする。
「…雨降ってきたね」
お兄ちゃんの言う通りパラパラと雨が降ってきた。
『帰ろっか…』
私が言うとお兄ちゃんは「そうだね」と言った。